Chomp,Chomp,Chomp

 
 生きる気力を失いつつある、黄韮ですこです。
 
 Tony Joe Whiteが二十六年振りに来日、札幌にも来るそうで、友人に誘われたが断った。チケットがやたらと高い上に、ぼくは彼のファンではないし、アルバムは一枚も持っておらず知っている曲はオムニバス(ロック秘宝館!)に入っていた『Pork Salad Annie』一曲のみであります。プレスリーが唄ったこの曲をカバーする事によっ運良く一躍有名になっただけ――というのがぼくの印象だし、スワンプ・ロックには興味がない。そもそもスワンプロックが何を示しているのかがよく判らない。あの辺りで重要なのはリトル・フィートのみであります。
 しかしながらこの『Pork Salad Annie』、かなり格好いい。静かに始まってライドのカップを叩く音を合図にビートが徐々に熱を帯びてくる辺りが、格好いい。パンは、ドラムが右でホーンセクションは左になっていて、その強引なバランスがなおさら格好いい。良く聴けばヴォーカリゼーションも凝っている事がわかる。
 だが、ライブには行かないゾ! どうせ小遣い稼ぎだろう?
 
 中島らも著〈寝ずの番〉読了。落語の師匠の死を、関西弁を駆使して書かれた、らもテイスト溢れるお話だった。自身でも言っていた事だが「最初に面白い話をもってくる」のがらも流で、事実最初の数ページで吹き出してしまった。らもは駄洒落とシモネタを合わせるのがとても巧い。
 三味線の掛け合いがこのお話の見せ場で、たしかこの本は映画になっているはずなのでDVDを観た方が愉しめるかも知れない。
 ほかに短編が幾つか収録されていたが、正直、精彩に欠けていた。内容も、かつてエッセイに書かれていた事と重複している事はすぐに見抜いた。落語家がハワイで入手したマリファナが実はお茶だった話や(この本では雑草となっている)、掛け合いの時の、以下のフレーズもだ。
 
 ♪橋の上からビチグソ垂れりゃ
 
  下の魚は卵とじ♪

 
 き、汚ねぇよ!
 生きる力が湧いてきました。