リハビリ日記#25

 
 けっこう労働。書くことがない。
 車を売ったときの話でもしようか。
 20年落ちの軽四駆にもかかわらず、人気車種なので下取りを期待していたが、ピシャリと断られたんだった。
 ポリシーで貯金はしない主義なので(貧乏なだけ)当然ローンだったのだが、試しに銀行のオートローンに申し込んだところ、あっさり通った。
 その旨を車屋に報告し、借入金額は総額よりも7万円ほど安く設定しておいた。
 すると車屋は、「わかりました。その金額プラスあの車を頂ければ可能です」と言った。
 ぼくは既に個人売買の段取りを進めていたので、「いや、車を差し上げることは無理です」と言った。
 車屋は「上の者と話をします」などと、神妙な声で言って保留ボタンを押したが、夜のちんまいオフィスの中、独りで受話器を手で塞いでいる姿が目に浮かんだ。
「お待たせしました。決算期なので可能とのことです」
 なんたる猿芝居!
 前の車の売却金額と併せて、都合20万円の値引きに成功した。値引きというか、もともと中古車の値段なんてのは、あってないようなものだけれど。
 前の車が、いかにもクロカンが好きそうな人の手に渡ったことは、少しだけ嬉しいような気もするが、後腐れ無くお金さえ払ってくれれば誰でも良かった。
 よく、「大切にしてくれる方へ譲りたい」などと言う人が居るが、偽善も甚だしい。だったらお前が大切に持っておきゃあいいじゃねえか。捨てたんだろ、捨てたんだよ。
 とは言っても、走っていると以前の車と同じ車種がやたらと目につく。遠くからでも、暗がりでもすぐわかる。
 重ステ、エアコン無し、窓手動のアイツ……30年後なら逢ってもいいか、ってなんだか同窓会みたい。
 参加したことないけど。