先日、北海道穂別町の山中で友人を助けるべくヒグマと死闘の末勝利した今村克治郎さんはカッコイイ、恐るべき老人力の持ち主である。
 友人のハンターと松茸採りに山へ行くと、そのハンターが「熊の気配がする。様子を見てくるが今村さんは車で待っていてくれ」と告げてライフルを抱えて山中へ行った。今村さんは車内で待っていたが突然銃声がしたと同時に「ギャーッ!」と叫び声が聞こえた。護身用のナイフを持って駆けつけるとそこには、ハンターに馬乗りになったヒグマの姿が。今村さんは友人を助けるべく無我夢中でナイフをヒグマに突き刺す。ヒグマは瞬時に矛先を変え今村さんへ襲いかかる。腹を撃たれたせいか、ヒグマの腹部からは腸が飛び出している、まさに手負いの熊である。胸を刺し、首を突き、ヒグマの口にナイフを突き刺すまでの凄まじい死闘の末、ついにヒグマは倒れた。ちなみにハンター58歳、今村さんなんと71歳。手負いと老い、先が長くないと云う意味では似ているが…。
 傷を負った今村さんは入院していて隣には奥さんがいる。「どうです?惚れ直しましたか?」との問いに、奥さんは照れながら「はい」と答えた。
 今夜は、今村さんのマツタケが奥さんに狩られるに違いない。