溜息は空中楼閣を創り出す

 
 シェフの気まぐれサラダにはたまに痰が入っているぞ、こと美味しんぼですこです。
 最近は大好きなビールを(正確には発泡酒ですが)控えて、ウヰスキーそれも、好きなオールモルトではなく安酒の代名詞トリスに変えました。味に違いがあるのかと云えば、正直よくわかりません。即ちわたくし、酒に味を求めていない事が判明したのであります。そのうちレッドの4リットルとか買い込むようになるんだろうなァ。
 肴はビール時には不用なんですが、ウヰスキーの時は柿の種かミックスナッツであります。本来は塩豆がベストなんですが近場に売っていないので買い出しが億劫なのであります。酒を呑んでなにをするのかと申しますと、先ず本を読みます。酔いが廻ってきますとだんだんと読めなくなってきますので、PCを立ち上げて日記を書きます。わたくしの場合、ほろ酔い状態の時が一番冴えています。完全なシラフだと当たり障りがないクセに理詰めになり易い傾向にあり、酔い過ぎていると気が大きくなっている所為か、ネガティヴな失言を無理矢理コジツケて、さらには文章が破綻していきます。ですからほろ酔い状態が一番よろしいのであります。ビールならば500ml×四本目辺り、ワインなら二本目に差し掛かったところ、ウヰスキーならば半分くらいが丁度MAX地点。
 その地点を維持するのはシーソーゲームのようなもので、呑むのをやめてしまえば消沈していき、更に呑めばぐるんぐるん渦を巻いていきますから、最良の時間はウルトラマンのように活躍期間が短いのでその隙にササッと素早く書き連ねていきます。かと云って別にウルトラマンみたいな名文が書ける訳じゃなくて、ひたすら楽しい時間、ただそれのみであります。平日の24時間、わたくしの楽しい時間はおよそ一時間くらいしか無く、23/24は眠っておるという事です。リゲインはひと舐めしかしないという事です。
 先日、歯医者で読んだ週刊誌(確か文春)にて『アル中特集』なる記事を連載でやっとりまして、自己診断的なモノを脳内でやってみたところ、中度のアル中でアル事が判明したのでR。今更くだらん、こんな判りきったことを。要約しますと、軽度=週末しか呑まない、中度=平日の夜も呑む、重度=昼間も呑む、となりましょう。
 中度の人間が社会的に独立した際に生ずるフリースペースと思わしき甘美なトキ、つまり誰にも咎められないフリーダムな時間を飲酒で謳歌する、というケースは非常に多いのではないかと思われます。中島らも翁がその典型である事は、彼の著作「今夜、すべてのバーで」に詳しい(名著)。世の社長には「好きなだけ酒が呑めるから会社を興した」と宣言する人も案外多いのも事実であります。こうなると一概に「酒は悪だ」とは言い切れますまい。
「過酷な練習が終わればカスタードプリンが食べられるバレリーナ」と、「労働が終われば酒が呑める勤め人」とに、一体どれほどの違いがありましょうか。要は緩急、メリハリ、自作自演の飴と鞭が必要なのであります。
 しかしながら、飴と無知こそが密かな桃源郷であることもまた事実で御座います。