あ・りとる

 
 ホモの契機はボーイスカウト、ですこです。
 
 毎日、ケンタッキー州からのアクセスがあるのです。恐らくはカーネル・サンダースの末裔かと思われます。伊達眼鏡の。
 ケンタッキー・フライドチキンと言うのは「粉のフランチャイズ」で急成長した訳ですから、たとえ店長といえどその秘伝の製法は決して知る事ができないらしいです。たぶんね、コカイン入ってるヨ(こら)。うー、ケンタッキー喰いてぇー、フィレサンドー。もう数年喰ってません。あたしはあのビスケットが好きです。ビスケットとクッキーの正式な違いは、腹の足しになるかならないか、であります。
 以前、コックをやっている友人に「ケイジャンチキンの粉をくれ」と頼んで、家で作ってみたんですがやっぱりめちゃくちゃ旨かったです。日清のからあげ粉も充分に美味しいですが、やはり自力でブレンドした味には敵いません。
 その「たかが粉」でここまで急成長したケンタッキー・フライドチキンには、何か秘密があるに違いない。これだけ情報が氾濫し、あらゆるレシピが共有されている中でも真似できない味の秘密は、コカインである(よしなさい)。
 
 大昔、コカ・コーラには文字通りコカインが混入されていたのは有名ですが、コカ・コーラーの凄いところはコカイン注入を止めても、原価数十円の飲料を世界中で爆発的に“売り続けている”ことです。カラメルを炭酸で割るだけで、世界中を席巻し続けているのです。
 
 日本人に馴染みのあるカルピスは、創業者がインドで飲んだラッシーが原型であります。要はパクリ、今風に言えばインスパイアで、あれだけの企業へと成長しました。
 いまは色々な味がありますが、やっぱりプレーンが美味しいのは、インド人の叡智のお陰です。
 
 グリコのキャラメルは元々、牡蠣を煮詰めたのが始まりです。創業者の兄が病で苦しんでいる時に「なにか精のつくものはないか」と思案した弟が、牡蠣を煮詰めて兄に与えたところ、病は吹っ飛び、それを商品化したのです。
 当時はお菓子と云うよりも強壮剤に近かったので、なかなか置いてくれる店がなく、創業者は営業で酷く苦労したようです。
 そうして四六時中がむしゃらに走り回った訳ですから『ひとつぶで100メートル』との有名なキャッチフレーズは、実体験としてひねり出したのでしょう。
 いまのキャラメルに牡蠣が入っているのかは判りませんが、言われてみればオイスターソースと味が似ている事はみなさんもお気づきになられるのでないでしょうか。
 グリコといえば「かい人二十一面相」であります。
 グリコは大企業ですが、上場していません。つまり、巨大なファミリー企業と言えましょう(創業のキッカケからも解りますネ)。
 あの事件にはそういった要因が密接に絡んでいます。つまりですね…おっとやめとこう! 消されちまう!
 
 このように、現在大企業とされている会社の始まりは、実はちっぽけである事が少なくない。しかしそれはまんま真似ではなく、ちょっとだけ工夫したモノが多いのです。
 ホンダのエンジンは確かに偉大ですが、誰しもがゼロから作り上げる必要はないのです。
 
 ちょっとだけ変えてやる。ちょっとでいい。
 
 ちょっとだけお酒を呑ませて、ちょっとだけ睡眠薬を入れて、ちょっとだけ明かりを点けて、ちょっと目を覚ましたので、ちょっとだけクロロホルムを嗅がせて、ちょっとだけ中指の第一関節をクイッとやりますと、ちょっとだけ湿ってきまして、そのちょっとだけでもかなり隆起しますので、ちょっと先っちょだけでも入れてみますと、ちょっとだけ中に出てしまい、まぁちょっとだけだから大丈夫だろうと、ちょっとだけタカをくくってしまい、ちょっとだけ好きだった女に、ちょっとちょっと、と、ちょっとした純喫茶へ呼び出され、ちょっとデキちゃったみたい、と、ちょっと嬉しそうに告げられると、ちょっと待てよと狼狽えて、ちょっと出しただけじゃないか、と、ちょっと逆ギレ気味に言ってみたが、女は既にちょっと腹を優しく撫でていて、その光景はちょっといいかも、なんて、ちょっとだけ思って、ちょっと不動産屋を見てみると、ちょっとだけいい2LDKの物件があったので、ちょっと見に行って、こんなにいい物件はちょっとないですよぉ、などと言うものだから、銀行からちょっと金を下ろして契約し、おれはちょっとしたパパだなワハハハ、なんてふんぞり反っていると、出てくるのはおれの腹ばかりで女の腹はちょっとも出てこない、ちょっとオカシイなと思った矢先、ちょっとだけ残高のあった通帳は消えていて、ちょっと出掛けてきます、との書き置きから数ヶ月、ちょっとヤバいかも。