ドドメ色したファンタジー

 
 ストーンウォッシュが一張羅、作田さんですこです。
 ごめんね作田さん、実名を出してしまって。でも決して君をバカにしてる訳じゃないって事はわかって欲しいんだ。 
 低俗な流行に従う事もなく、我が道を行き、君がジーンズの裾を絞れば絞るほど、ぼくの胸は苦しくなるんだ。
 君が体を鍛えて「寺門ジモン化」してゆく度に、ぼくはうつむいた。
 本当の個性は直視することができない。君は身をもってそれを僕に教えてくれたのさ。
 結婚したんだってね。風の噂で聞いたよ。住所も聞いたから、お祝いで飛びっきりのケミカルジーンズを君に贈るよ。もちろん腿にはストーンズのベロマークのアップリケを貼っておくさ。
 赤いペイズリー柄のバンダナも同封しておくよ。膝で縛るもよし、運転席のヘッドレストに巻くもよし。
 到着を楽しみにしていてくれよな。代引きだけどよ。
 
 
 ライブドア告発系の中でも非常によく出来ている(と思われる)ブログを見つけたので貼っておきましょう。
 
 ホリエモンの錬金術
 
 事後報告ではなく、一年ほど前から予見しているところが素晴らしい。さすがプロである。
 
 最近、堀江と引き合いにだされている「光クラブ事件」は1949年、戦後間もない所謂アプレ・ゲール(戦後の意。確かフランス語)犯罪の中でも「バー・メッカ事件」と並んで有名な事件である。
 山崎晃嗣は東大在学中の26歳の時に(戦時中は学徒兵)、友人らを誘ってヤミ金融光クラブ」を発足し、その風変わりな社名と、経営陣が学生であった事から素人連中からたいへんな人気を博す。
 新聞に「月一割三分の配当」と銘打って投資金を集めるが、当時の法定利息は九分なので当然破綻する。検挙され、四百名近くの債権者から三千万円もの債権取り立てを迫られ、ついに行き詰まる。
 そうして彼は1949年11月24日に、社長室であっけなく青酸カリで自殺を遂げる。
 割愛するが、面白いのは遺書の内容である。死の直前までしたためられた徹底的な合理主義、要領主義がむしろすがすがしい。
 山崎がそこまで合理主義に徹したのは、戦争体験からに違いない。尽忠奉国も、敗戦後になればただの酔狂だったのだ。
 詳しくはネット及び書籍を参考されたし。また、三島由紀夫の「青の時代」はこの事件をモチーフとしている。
 強いて云えば、堀江と山崎の共通点は「蔓延している不安の共同幻想に便乗した」ところではないだろうか。「カネを手放せ!」と叫ぶ、カルトのように。
 尤も、堀江には山崎のような潔さは皆無だが。
 
 もう一つ引き合いに出されているのは「豊田商事永野会長惨殺事件」である。
 これは1985年と、比較的新しい事件なのでみなさんの記憶にも新しいだろう。所謂ペーパー商法悪徳商法のハシリで、なんと四年間で2000億円も集めた。
 一万円札にだって一万円の価値がないのに、虚偽の証券が2000億枚あってもそれはゴミにすぎない。当然、行き詰まる。
 そこで奮起したのが、被害者から「カネはもう要らんから永野をブッ殺してくれ!」と頼まれた飯田篤郎(56歳)である。もう一人の舎弟らしき伸びたパンチパーマの人物は矢野正計(30歳)だ。
 永野会長宅の前で大勢の報道陣がいる中、飯田はパイプ椅子でちからまかせにドアをぶっ叩き、矢野は玄関横の窓ガラスを蹴破った。矢野が持っていたカバンには銃剣が仕舞われていた。
 数分後、血まみれの銃剣を手にして窓から出てきた飯田は「殺ってきた。おれが犯人や。警察を呼べ」と報道陣に告げた。そうして、また部屋へ入った。
 数分後、再度出てきて飯田はこういった。
「これで死んどらんかったら、また殺ったる。ボケ老人を騙し腐った奴や。当然の報いじゃ」
 再度部屋に入ったのは、トドメを刺しに行ったのだろう。
 
 世間では、飯田はただの右翼構成員だと思われているが、それは少し違う。
 飯田は鉄工所を経営していて、そこの従業員は高齢者や身障者であった。飯田には彼なりの理念があって社会的弱者を雇い、それだけに老人を騙し続けた永野一男がどうしても許せなかったのだろう。
 しなびたパンチパーマの矢野は、そんな飯田に心酔し敬意を表してついて行った“オマケ”に過ぎない。伸びたパンチパーマがソレを物語っている。ホンモノならば、ヘアーをキメてから殺る、そういう時代だったはずだ。
 人殺しも、弱者を雇っての経営も、ただの人では実行できない。
 飯田を庇護するつもりはないが、わたしは飯田を“ただの人殺しではない”と思っている。同時に、“ただの人殺しだ”と思っている世間の風評を、少し残念に思う。
 ちなみに飯田は出所後、現場に居合わせた報道陣による教唆があった、として再審請求を起こしたらしい。
 
 挙げた二つの事件と照らし合わせてみると、堀江がいかに矮小で薄っぺらい人物であるかが伺える。同時に、わたしを含む民衆の愚かさ、それにまつわる幻想が持つリアリティのクダラナさも。
 
 いまこそ株が買いのような気がします。でも買い方がわかりません。