本当は欲しいモノなんか無いんですって

 
 アゴが臭いですこです。
 アゴがさ…(シャム猫を愛くるしく撫でつつ)、臭いっ!(おもむろに外へ放り投げる)
 
 地味屋という商売(?)があるらしいのです。
 道端から駅の構内まで、落ちているカネを拾う仕事(?)らしい。わたしも何度かカネを拾った事があるが、それよりも落としたカネの方が多いので、地味屋は成り立つといえましょう。
 駅周辺などでは地味屋同士のテリトリーもあるらしい。おそらく昼は駅、夜は繁華街で仕事をするのでしょう。
 昼間の駅の場合、便座の方のトイレでは必ず財布を取り出してどこかに置いてからスルので、多忙な人や便意限界から解き離れた人などは置き忘れることもままあるでしょう。
 事実、むかしの職場の同僚は公衆便所でウン十万入りの財布を拾って、カネを抜き、財布は便所に流してしまった……なんて非道いヤツでしょう。せめて免許証やカード類だけでも置いてあげればよかったのに。
 ちなみにその同僚は若干ノイローゼ気味で、ほんの少しでもストレスを感じるとすぐに自律神経に失調をきたし、それもお腹にきて毎日ピーピーの下痢だったのです。
 そういう人ですから、トイレに入る頻度が多いぶんだけ、財布を拾える確率もグンと上がるのです。
 その同僚に
「そんなに大金が入っていた財布を拾ったんなら、焦って取り乱したでしょ?」
 と訊くと彼は
「うん…。お尻を押さえながらダッシュした」
 と照れ臭くも怪しく微笑みました。コーフン(糞)の余り漏らした事は間違いないと思われました。
 しかも彼は大のソープ好きで、給料の大半をソープにつぎ込んでいました。
 冴えない下痢男でまともに恋愛をしたことなどなく、そのくせ性欲は人一倍強く、肉欲に耽溺し、商売で躰と愛想を振りまいている泡姫に都合の良い『性欲からくる恋心』を抱いてしまい、お金を貯めて「ティファニーのティアドロップ」をプレゼントしたところ
「もう来ないで頂戴!」
 と冷たく突き放されたそうです。
 その話を聞いたわたしは、笑いのティアドロップを堪えるのに必死でした。
 彼は今頃どうしているのでしょうか…どうでもいいけどさグッスン。
 
 愛知万博の開催日数や延べ入場者数はわかりませんが、正規の落とし物の中での現金が800万円もあったそうです。それは職員などが発見&保管している金額でありますから、地味屋や市民のネコババを加味すれば、その数字たるや膨大な金額になると思われます
 万博=祭りですから、うかれた人間はカネを落とすのでしょう。高揚しているので落とした事にも気づかず、また気づいたとしても「ま、いっか!」となるのです。
 つまり、人間はある一定の確率でカネを落とし、人が集まれば集まるほどその金額と地味屋は増えていくのです。
 これは商売の縮図とも云えましょう。ネットでの広告がそれをよく表しています。人が集まればその中で、カネを落とすヤツもいれば、広告をクリックするヤツもいるのです。つーかテレビの視聴率も同じ原理ですね。
 
 バカだなァ、わたしたちって。