うつむく中年

 
 赤がRで白がLでセンターがピンクこと、ことなかれ主義ですこです
 土曜日であります。明日は休みなので出掛けたい気持ちもありますが、毎週呑みに出掛ける事には少し抵抗感を感じるお年頃なのです。
 繁忙期ということもあって、正直、休みも休みの前日もゆっくりしたいのです。
 不思議なもので、カネがなかった若い時分には夜な夜な呑みに行っていたはずが、その時よりもカネはあるのに呑みには行かなくなる、というこの現象は、やはりオヤジ臭の顕れなのでしょう。
 
 そんな訳で、土曜の独り酒は否が応でもセンチメンタルになってしまうのです。
 ブログ歴通算6年目です。そりゃあ文章も巧くなりますよ、アクセスは少ないがね。
 今夜はネタがないし、考える気力もないので、大好きな谷川俊太郎さんの詩を写して終わりと致します。
 わたしも初期はたくさん詩を書きましたが、他人の詩を写すのは初めての試みです。
 これは本当に素晴らしい詩です。是非とも谷川さんの詩を、みんなに読んで欲しいのです。
 
 
 うつむく青年
 
 
うつむいて
うつむくことで
君は私に問いかける
私が何に命を賭けているかを
よれよれのレインコートと
ポケットからはみ出したカレーパンと
まっすぐな矢のような魂と
それしか持っていない者の烈しさで
それしか持とうとしない者の気軽さで
 
うつむいて
うつむくことで
君は自分を主張する
君が何に命を賭けているかを
そる必要もないまばらな不精ひげと
子どものように細く汚れた首すじと
鉛よりも重い現在と
そんな形に自分で自分を追いつめて
そんな夢に自分で自分を組織して
 
うつむけば
うつむくことで
君は私に否という
否という君の言葉は聞こえないが
否という君の存在は私に見える
 
うつむいて
うつむくことで
君は生へと一歩踏み出す
初夏の陽はけやきの老樹に射していて
初夏の陽は君の頬にも射していて
君はそれには否とはいわない