杞憂日記

 
 部屋が異様に珍味くさいのです。確か、ヒロ吉が我が家を訪れたのは珍味はじめの(そんな言葉があるのか)月曜日で、今日はもう金曜なのにもかかわらず、しかも珍味は全て平らげて残骸も全て捨ててあるのに、未だ珍味のにおいが部屋を充満しているのは、どこかに珍味の破片が落ちていてそいつがにおいを発しているのではないか? と思い、居間をくまなく探すもそれらしき破片は見あたらないし、もしや? と思い、でんぐりがえしをしてみるとにおいの主はおれだった、こと、開脚ピン助ですこです。YO! みんな! よーろしーくピーン!(おっぴろげjumpin' & 穴あき全身タイツで)
 
 母の入院以降、身内からの電話が毎日鳴りやみません。
 
兄「…どうだった」
俺「昨日、行ってきた」
「で、どうだった!?」
「どうだったもなにも…」
「ヤバいのか!? なあ!」
「待て、落ち着いて」
「マ…ママーッ!」
「うるさいから」
「死ぬのか!?」
「……(もう話にならないので黙る)」
「ママーッ!!」
「…もう切るよ」
 
 現物をみていないだけに不安が膨らむのだろう。思い知るがいいさ。
 すると今度は姉から電話が。
 
「で、どうなの?」
「おれは元気だよ」
「あんたじゃなくてさ…」
「まだ検査入院の段階だからね」
「悪性なの?」
「素人目では、悪性だったね」
「そう…」
「あなたは悪妻、なんつって」
「……。とにかく、検査結果がわかったら連絡ちょうだいね」
「尻文字で伝達してくれよな」
「……」
「切るぞ」
「……」
 
 すると、母から電話が。
「あんた、土曜か日曜に来るの?」
「行くつもりさ」
「あたしは明日から外泊するから、帰りは月曜になるの。だから土日は来ないでね」
「…どこに泊まるんだよ?」
「それは、ナ・イ・ショ♪」
 
 こいつ、本当に癌なのか?