癒し系来襲

 
 肛門が舞茸状ですこです。切れ痔というか、核実験後痔です。
 
 全快したので、仕事終わりに母の様子を見に病院へ行く。
 病室へ入ると「アラー! ですくん!」と、先日とは違う叔母、K子おばちゃまが。函館からわざわざ来たらしい。
 母は四人姉妹の長女で、末っ子は20代の時に育児ノイローゼで自殺してしまった。そのY子おばちゃんは、母とは種違いである。その他の叔母も、母とはあまり似ていないが、種違いなのかどうかはおれは知らない。Y子おばちゃんと同じ父で、腹違いの男が居る。血は繋がっていないが母の弟にあたり、おれの叔父になる。その叔父は布団を背負って故郷を飛び出し、横浜でヤクザの若頭になった。組長の養子になったのさ。その叔父とは、町田界隈で何度も会ったことがある。梅宮辰夫みたいな人だったな。まだ十代だったおれは、どこに行ってもツブシが効く叔父を誇ったりもしたが、いまはもう会いたくないし、向こうもおれのことなんか忘れているはずだ。もしバッタリ遭ったら? 走って逃げるさ!
 枯木灘ほど凄まじくはないが、おれの家系図は結構複雑なのだ。考えると頭の中が痒くなるのであまり考えないようにしている…って、そんな話はどうでもいい。
 
 とにかくこの三姉妹は異様に仲が良い。その結束力の強さは、たぶんY子おばちゃんの死によるものだと思われる。
「やあ、K子おばちゃま。お久しぶりです」
「やー、元気ぃ?」
 ふと見ると、もう一人おばさんが居た。知らない顔だ。
「ウチの次男よ」と、母がおれを紹介する。
「どうも、初めまして」とおれ。
「エーッ! ですくん?!」と、おばさんは勝手に驚愕していた。
「もう32歳よ」と母。
「ヒーッ!」とおばさん。
「まだ独身なの。ぷっ!」と母。
「キャハハハハ!」六人部屋の静寂を破るおばさんとK子おばちゃま、そして母。
 うつむくおれ。
「ごごごごめんなさいね、おばさんの井戸端みたいで☆」と、笑いを堪えるおばさん。
 間髪入れず再度三人で「ギャハハハハ!」と合唱。
「ヒー、おかしい」母はよじれた腹で涙を拭っている。
 こいつ、本当に癌なのか?
「そのぶんじゃ心配ない。おばちゃま、あとはよろしく。おりゃあもう帰る」
 病室を出たあと、遠くでまた爆笑しやがった……ったく!
 
 帰宅後、神奈川在住の兄から電話が来る。
「よう!」
「なに? さっき病院に行ってきたよ」
「来週そっち帰るから」
「…エ!?」
「ウチの癒し系アイドルとさ」
「誰よ、癒し系て。嫁じゃないだろうね?」
「ともちゃんと二人で行くから」
 ともちゃんとは、兄の子供三人のうちの末っ子、五歳。
「マジにかい」
「もう飛行機予約済み。水曜に行くから」
「じゃあ実家の鍵を渡すよ」
「実家から病院までは遠いだろう?」
「遠いけど地下鉄一本だよ」
「バカ。こっちは幼児を連れて行くんだ」
「……」
「だからお前の所に泊まるから」
「…マジですか」
「マジです」
 すると、ともちゃんに電話が代わった。
「モシモシーですくーん。いやしてあげるからねー」…だとさ。
 
 そんな訳で、今日はともちゃんが二歳だった頃の画像を公開しましょう。
 確かに癒し系。特にくちびるがなんとも……誰に似たんだろ?
 

 
 ね? 可愛いでしょ? かーいー、ともたん、かーいー。
(現在入院中のPan爺も、ともちゃんのめくれたクチビルに癒されたことでしょう。)
 
 来週は忙しくなりそうだ。