ラーメン日記

 
 額に「仲」の文字、ことなかれ主義ですこです。でも友達ってさー、5人くらいでいいかなー、とか思いません? つーか、五人もいないんですけどね。足りないくらいがいいんですって。

 帰宅後、市内の自転車屋を数軒巡るんです。お目当てはスリックタイヤとチューブ。だがお目当ての品は売っていなかった。出来ればネットではなく、ちょっと高くとも地元のお店で購入したかったのです。持ちつ持たれつって事でね。その店でお目当ての品が無くて別の物で妥協するか、って結構難しい問題です。だって、乗り物のタイヤってめちゃくちゃ重要ですからね。地球と接吻してるタイヤは妥協できないなァ。
 
 で、何故か無性に脂っこいラーメンが食べたくなったので、北の方まで車を飛ばす……が、無い。建物はあるが看板がない! 潰れていたのでした。旨かったのに、やぶれかぶれ(←店名)。店舗を移動しすぎだよ。
 仕方ないので店主がかつて修行していたらしき「すみれ」に行く。共に全国区で有名らしいが、「すみれ」と「純連」は違う店だということを、道外の人は知っているだろうか? すみれは初めて行ったが、純連と比べると小綺麗な印象。肝心の味はほぼ同じであった(同門)。もの凄い脂の量、ぼくは「自分の体をいじめたい時」にしか、この手のラーメンは食べない。自虐的な旨味である。
 
 かつて(今でも在るが)北の方に月○軒という名店があった。
 今から8年前ほど、当時のぼくはラーメンマンで、同じくラーメンマンの友人と情報交換をしては旨いラーメンを探し求めていた。
「君があっちへ行くのならあの店へ行くがいい。ぼくはあの店に行く」などと虱潰しに食べ歩いていた。
 そうして互いに仕事が終わって落ち合い「どうだった?」「5点だね。君は?」「3点だ。なんせスープがぬるい」などとディスカッションをしていた。各々50軒はくだらないだろうから、合計100軒は批評したことになる。
 そこで互いに満点を出したのが、先の店だ。当時、かの店は本当に旨かったのだ。丁度その頃、兄と兄の嫁の親類が来札してきて「旨いラーメン屋はないか?」と訊かれて、ぼくは真っ先にかの店を挙げた。地図を書いて手渡した。
 ぼくは同行しなかったが、兄嫁の母はスープをすすった開口一番
「おいしいっ!」
 と叫んだらしい。でもこの反応は大袈裟じゃない、当時は本当に旨かったんだ。
 そんなに旨かった店が没落を始めたのは、店主の入院からである。ぼくは足繁く通っていたので、ちゃんと身をもって知っている(なんせ遠かった!)。休業中に、タウンページで調べ上げて電話だってしたくらいだ――「営業再開はいつですか?」
 思えば、人気が鰻登りの頃で一番旬の多忙な時に店主は倒れた。その後、再開はしたものの、従業員は増え、値段はそれぞれ五十円上がり、プラスティックが増えた。
 驚いた事に、ウチの近所にまで支店を展開したが、およそ一年ほどで姿を消した。まことに無念である。人気と調子の滑稽さ、軋んでいる方が重心が低いというこの不条理。嗚呼、スープストックとSPUTNIK!
 
 いまだに旨い店は二つ知ってるけど、教えません。