ウルルン滞在記#2

 
 ひたすらグイグイ呑み上げ、バクバク食べる。外で飲み食いすると美味しいナ。
 n子がだんだんとぼくに慣れて、距離が縮まってくるのがよく判る。こんくしゃん夫妻が部屋に入ってn子と二人きりになるも、n子の様子は落ち着いている。
《そろそろ大丈夫だろう》n子を抱いて段差を降ろし、手を繋いで庭を歩く。よしよし、イイ感じ。だっこしてみる。もうカンペキに慣れた様子だ。
 イキナリ接近せずに徐々に信頼関係を築く事で、翌朝も驚いて泣かれずに済んだに違いなかった。
 太陽はなかなか落ちない。昼間の蝉は異常に煩かったが、夜の虫は風情がある。が、蚊に刺されてしまった。
「ラヂヲの掲示板に書いたアレ」
「ああ、ナースコールね」
「あのボタンって、線がこう延びてるのよ」
「ほう」
「その感じがバイブっぽいのよ」
「なるほど!」
「で、実話なのよ」
「マジかよ!」
 そんな感じで24時までひたすらしゃべりひたすら呑み上げる。もう何年間も、彼とはいつまでも会話ができるのだ。
 こんくしゃんはすっかり酔っぱらった様子でフラフラである。アル中のぼくはシャンとしたものさ。1時就寝。
 
 翌朝8時、向かいの病院の奇声で目が覚める。みんなまだ寝ている。暇である。外へ出て煙草を吸う。羊蹄山がでっかい。空が遠い! あ、勝手に麦茶を頂きました。
 ラブリーn子が起きてくる。おままごとセットで一緒に遊ぶ。ツナサンドとコーヒーを頂戴する。刻んだ玉葱が美味しゅうございました。
 なかなか起きないこんくしゃん。起きたと思えば絵に描いたような二日酔いであった。アル中のぼくはシャンとしたものさ。
 
 ペットボトルを持って、いざふきだし公園へ。名前の通りじゃんじゃん吹き出していた。一口飲んでみる。冷たし、うまし。なぜか? 酔い覚めだから!
『野々傘』という、名水うどん屋ぶっかけうどん。この辺りの店は大抵“名水”と“羊蹄”が付属している。うぬぬぬ! 水泥棒のクセに! 店内で暴れるn子。ぶっかけ、うまし。名水バンザイ!
ニセコパノラマライン』を案内して頂く。長い長いワインディング・ロードである。秋の紅葉なんかは最高だろうし、バイカーたちは堪らないだろう。つまり、田舎である。
 
 帰館、麦茶。眠い、昼寝をしたい、したーい。だが帰らねばならぬ。
 家族三人に見送られ、いざ出発。いろいろありがとうございました。ぼぼぼぼぼく山下清
 およそ一時間半で帰宅。汗だくである。
 
 ぼくはいつからか、おそらく深沢七郎にハマってからだろう、田舎暮らしや農業に憧れるようになった。それはパソコンというアイテムも重要だろう。
 だが今回の滞在で思ったことは「独りで田舎暮らしはバツゲーム」だってこと。あくまで滞在、ウルルンがイイのである。
 みなさんも田舎に友人知人がいるのなら、是非とも遊びに行きましょう!
 
 嗚呼、n子に会いたい。