栗ロマン

 
 駐禁で罰金15000円のヒロ吉こと、ですこです。ぷぷぷー。ごめんごめん。
 
 土曜は、ヒロ吉とさとしと久し振りに世界の山ちゃんに行ってきた。たまに食べるとめちゃくちゃにうまいぞなもし。しかしここの店員はなってないなぁ、というのはぼくが大人になったらそう思うのだろうか。年を追うごとに、巨大チェーン展開をしている店を避けるようになるのは、つまりそういう事なのだろうか。安かろうだけじゃ物足りなくなってしまったのだろうか。お外で呑めるだけでも御の字だってのに、なんたる贅沢者だろう。
 
 二件目はJの店に行って、栗焼酎なるモノを頂いた。エロイ味がするのかと思いきや、芋と麦の中間といった趣。ちぇっ。イベリコ豚のサラミ、ペンネゴルゴンゾーラなどを食す。ソツなくうまし。
 面識がある店長に、Jは予め告げていたのだろう。ぼくが減給になった事を知っているかのように、会計時は三割ほどまけてくれた。ありがとうございます。折角なので宣伝しておいてやろう。
 
 TFS CORPORATION
 
 みなさま、札幌へ来たときにはお立ち寄り下さい。なかなか良い店ですよ。「ですこの友達です」と告げれば入店禁止は必至ですので、ご注意下さいね。
 9月には4店舗目をオープンするようです。しかしまさかあのJがねぇ――
 
 Jが夜の世界に入るキッカケを作ったのは、ぼくだった。当時ぼくらは高校3年生、卒業間近の休暇期間に、アルバイト情報誌を見ながら「ここに行こう!」と指したのは、今は懐かし《ねるとんパブ》だった。
 面接なんかあって無いようなもので即日採用、簡単な説明を聞いて夜の街へ放り出された。完全歩合制で《女性を一人連れてくると1000円貰える》という単純明快なシステムだ。
 ちなみに女性の飲食料金は無料で、男性客は高めの料金を支払うという算段だ。悲しいかな、女性の目当ては不意な出逢いではなく、店員目当てだった。客引きには向いていない事を三日で悟ったぼくは、厨房へ入る事を志願した。陰から見る男性客のなんと憐れな事よ。
 厨房といってもそんな店である、大したメニューはない。一番高度なメニューで《やきそば》だった。具はちょっぴりのベーコンとカビ臭いキャベツのみ。いまでも憶えているのだが「この焼きそば焦げてるぅ」とクレームを受けた事があった。ぼくは若かった、なんせ18歳である。タダ飯喰ってるヤツに文句を言われる筋合いは無い。「ウルセーよ! ドブスが!」と罵倒したのだった。むちゃくちゃである。
 いよいよ夜の世界に向いていない事を悟ったぼくは、身を退く事となる。Jはその後も続けていた。彼は物悲しい笑みで、ススキノの上空にタバコの煙を吐いてこう言った――「最近さ、女が千円札に見えるんだ」
 
 そんな彼も、夜の世界から身を退いて、神奈川県は三崎口に行く事となる。数年後、ぼくらはそこで再会する事となる――この頃の話は面白すぎるので、未だに封印している。
 できうるならば、高木敏光氏『ササイことで思い出した』(←pdf)のような作品まで昇華させてみたいものだ。頭の中では錬っているのだが、そうそう簡単には氏のように書けるはずがない。いざ書こうと思えば、氏がいかに優れた物書きであるかがわかってしまって、凹んでしまった。おれは虫けらだ。
 
 秋の夜長、しかも貧乏である。今度じっくり書いてみようかナ。