眩しい星は堕ちるのが筋だろう?

  
 こんばんは、ですちゃん本舗どぇす!
 
 界隈が物々しいのである。
 大量の警察官とガードマン、更に道警ではなく《警視庁》の大型車、国道の真ん中に右折禁止のまきびし、全て赤信号の交差点で手旗をする警察官。
 聞けば、天皇皇后両陛下が北海道に来ているとのこと。是非ともお会いしてみたいものだ。
 戦死したぼくの祖父は、天皇が北海道に来た時の専属カメラマンだったらしい。生前は写真店を営んでおり、実際たくさんの白黒写真がある(祖父と俺はクリソツだ)。戦争さえなければ、ぼくは今頃宮内庁でこっそりエロビデオを観ていたはずなんである。なんたる運命の悪戯だろうか! マニョマニョ!
 
 ちなみに祖父が残した財産は、祖父の兄弟によって血みどろの争奪戦となり、妻である祖母には一銭も渡らなかった。
 当時ぼくの母は産まれたてで、祖母は当然戦争未亡人。これがエグイのだが、祖母は“祖父の弟”と再婚して、母の妹、つまり叔母を産む。更に不幸な事に、“祖父の弟”は交通事故で死んでしまう。
 子供を二人抱えて路頭に迷った祖母は、すがるように再婚をして二人の女児、つまりぼくの叔母を二人産む。
 順に要約すると、祖母は四人の子供を産んでいる。母、K叔母、C叔母、Y叔母。全て女性だ。
 
 祖母は随分前に死去したが、最後の夫、H爺(ハードゲイではない)は生きている“らしい”。同市内在住だが、疎遠なのだ。連れ子だった母とK叔母は、いつもH爺の悪口を言っていた。しかし、H爺の実子であるC叔母とY叔母を、じつに愛しんでいたようだ。にもかかわらず、Y叔母は自殺をしてしまう。残された三姉妹の団結力が異常なほどに強いのも、頷けるのだった。
 
 H爺にも連れ子が居た――Y男である。
 Y男は十代半ばで、布団を背負って東京に飛び出した(本当に背負って!)。しばらく経ってY男は、某暴力団の若頭まで昇りつめる事となる。Y男には名字が二つある。実名の《K》と、養父である“オヤジ”の《Y》だ。
 以前にキンピカの名刺を頂戴したが、実名だった。
 
 さて、伏せ字ばかりで混乱しただろうが、その方が都合がいい。フィクションみたいな話だが「実話である」とは、敢えて言わないでおこう。あーそうさ、全部嘘っぱちさ。
 ちなみに、この話にはまだまだたっくさん続きがある。ふんだんに、だ。
 
 ぼくはどうも「天皇」というフレーズを聞くと、「戦争」を想起してしまう。戦争さえなければ、たぶんぼくはボンボンだった。これは溜息ではないし、それでいいと思う。
 もっともっと、運命はグルングルン廻ればいいと思うんだ。たとえその停止地点がロシアンルーレットの薬莢を射ようとも、長すぎる一人勝ちは赦されない。
 
 つまりぼくは、権力が大嫌いなのだ。