追懐するのは、ふくろの味

 
 こんばんは! ですっ子倶楽部です!
 
 酒も煙草もあるので、買い物には行きたくない。いや、行く必要性がない。というかカネがない。いや、そこまで無いことはナイ。
 インスタントや乾物類は戸棚の一番上にしまってあり、必ずコイツが常備してある――道産子には今さら説明不要な不屈の名作《ホンコン焼きそば》である。
 
 
 
 ぼくの場合『S&B』と聞いてすぐさま脳裡に浮かぶのは、胡椒やカレー粉ではなく、ホンコンやきそばである。コンビニでは一袋80円強、スーパーでは70円、特売日には五袋セットで198円である。《お一人様一セット限り》とある場合は、リバーシブルジャケットにサングラス持参で出向けば二度潜れる。家に帰って戸棚に十袋のやきそばを並べれば、そこはもう香港であります!
 味は若干辛めで、そこが好ましい。『ホンコン派』と『やきっぺ派』に二分されるが、ぼくの統計によると、後者は保守的な人間が多いように思う。「なるべく体に悪そうじゃない味」を求めてやきっぺをチョイスしているのだろうと思われるが、ぼくはその選択に違和感を覚える。
 安価且つ簡単に腹を膨らませながらも健康でいたい、というこの強欲。これは酒や煙草にも言える事で、安酒は体に悪いだの、ニコチンを徐々に軽くしていってるんだ、とか言ってんじゃねぇよ。わざわざ気持ちよくなってるんだから、早死にするのは当たり前じゃねーかよ。そういう輩は、酒も煙草もやめて、死ぬまで大根の甘い所でも齧ってればいいんだよ。ネズミみたいにな! あとな、呑み過ぎた後に翌日の事を考えてウコン対策とかも気持ち悪いね。ガンガン二日酔いになって、翌日タップリ後悔すればいいんだよ。ったく調子のいいことばっかり言いやがってよー、バカヤロゥが。そういう時はハイチオールかアルカセルツァーか、渋皮カプセルにしろっての(飲んでるんかいっ!)。
 ちなみに《ホンコンやきそば》は、めちゃくちゃ体に悪そうな味がするのだった。
 
 デザインされているこの古めかしい中国人は《中華コック長》である。右手にはおたま、左手に持った中華鍋の部分は透明になっており中身の麺が透けて見える、というなかなか秀逸なデザインだ。『果たして中国人がソース焼きそばを食べるのだろうか?』という疑問はナンセンスである。香港の人たちはソース焼きそばが大好きなんですってば!
 
 
 
 いつ食べても懐かしい味がする。母が不在の時によく兄が作ってくれたコイツを、ぼくは七歳の頃から食べている。