心象、殴り書き

 
 単文は短刀のように迫ってくる、ですこです。
 メール世代の弊害は文章を書けない事ですが、反面、行間を読むという特技もあるはずですよね。
 
 しかし最近テンションが低くてね。本格的な冬到来という事もあるんだろうけど、なにより仕事は忙しいのに給料が減った、というのが最大の理由だろうな。そのくせオナニーだきゃあしやがるから、なおさら鬱屈に拍車が掛かるってわけ。10℃を切った寒い部屋でだらしなくポコチンをこぼして、しごいてるんだから、古代の人以下の沙汰だな。あいや、縄文人ってじつは凄いんだったっけ。ごめんね、縄文人。そういや、前に小熊英二の〈単一民族神話の起源―「日本人」の自画像の系譜 〉という分厚い本を読んだけど、面白かったな。なんでこんな本を買ったのかはわからないけどさ。ぼくが思うに、縄文人の子孫はアイヌ民族だな。掻い摘んで云えば、弥生人に北方へ追いやられて北海道に棲んだ、ってこと。コメだって確か呉が由来だから、中国地方とはよく言ったもので、あの辺の人たちには大陸の名残があるだろうし、南の方はちょっと顔が違うのでマレー系だろうな。ただ、不思議な事にアイヌの民族衣装とカナダの意匠はよく似ているんだよね。たぶん稚内辺りで大陸越しに繋がっていたんだろうなぁ――なんて考えると、民族の移動というのは愉しいね。
 しかし未だに日本人は単一民族だ、と思っている人が居るのかなぁ。そういうチープな選民意識の持ち主って、ウサギとかワニとか珍しい肉を喰ってさらにチープな王侯意識を満たす事に終始していて、ばかばかしいな。まぁ、ひがみだけれども。あ、ウサギは喰ったことあるな。羊と鶏肉の臭い部分を合わせたような味で、不味かったよ。ウサギってナリは可愛いけれど、やつらってめちゃくちゃに絶倫なんだよね。相手がスリッパだろうがなんだろうがひたすら腰を振るんだな。怖いね。「ラビット」って、そのまま好き者を指す隠語だしな。
 一番レアな肉は人肉だろうけど、『人肉は美味なり』という都市伝説もあるらくて、我が国の著名なカニバリストである佐川一政くん著〈霧の中〉でも「うまいぞ! やっぱりうまいぞ!」と狂喜していたけれど、それはどうやら味覚そのもので感知したというよりも、長い間妄想していたカニバリズムが実現した悦びによってもはや味覚どころではなかった、とは本人の弁。この本で最も印象深かったのは、被害者を撃って床に倒れるまでの詳細な描写だった。「後頭部を撃たれた人間はバカ殿のような顔になる」とは浅田次郎談だったが、佐川くんも同じように書いていたっけ。殺人と白塗りのコント顔、という対比がなおさらリアリティを持たせていて、印象的だったな。シリアスな場面って、ちょっと滑稽な方がリアルなんだよね。嗤って良いのかどうなのか、という狭間に妙な真実があるような気がするな。
 あれは20年くらい前だったかな。祖母が死去したときに、親族の前で死体の骨をポキポキ折って畳むんだよね。みんな悲しんでいたけれど、神聖なムードが充満していて泣いている人はいなかった。みんな俯いていた。たぶん直視できなかったんだろう。で、祖母がまとっていた衣装がめくれて尻が見えたんだよね。ぼくはずっと顛末を見ていたので、なんか可笑しくなってしまって、笑いを堪えるのに必死だったな。骨が折れる音はおぞましかったんだけれど、尻が見えて、無性に可笑しくなってしまったんだ。まぁ、こんなことは親類には言えないけれど。ぼくが祖父母という人たちに疎遠だったから、あんな風に思ってしまったのかな、と考えるとちょっと淋しい話なのかな。不思議なもので、ぼくが一番心を惹かれるのは、戦死した、会った事もない祖父に対してなんだよね。無い物ねだりなのかな。でも古びた白黒の写真はぼくにそっくりなんだ。
 
 毎日ごはんも食べて、ギターだって弾いていて、パソコンさえ操っています。
 
 まぁ、そんなところです(なにが)。