どさくさ紛れて泥まみれ

 
 買い物月間ですこです。貯金? ないよ、そんなまやかしは。
 
 出窓の下で車のドアが閉まる音で目が覚めた。トラックでも普通車でもない、軽い音だったが、軽自動車の薄いドアが閉まる音ではなく、軽ワゴン車のハッチバックが閉まる音だと思えた。車内の暖気と外の寒気が入れ替わる時の音だった。
 ちょっとうたた寝をしてしまったようだ。シャチハタを用意して、タオルケットの痕が付いた頬の皮を伸ばし、チャイムが鳴るのを待つ。しばらくすると、車が走り去る音がした。どうやら違う家の荷物だったようだ。時計を見れば19時だった。シャワーを浴びてしまいたいが、応対が出来ないとまずいので晩ご飯の支度をする。調理中や、ましてや食べている途中で応対するのは嫌だったので、準備を終えて待つことにする。19時から21時の間に届く予定なので、丁度良い。
 アポ無しの訪問は種類が限られている。チャイムとノックを同時に鳴らすのは新聞拡張員、二度目のチャイムが鳴るまで間があるのはNHKの集金、声を上げながらノックするのは布団のセールスだ。激しく階段を昇降するのは、ピザハットか引っ越し屋のポスティングである。
 飼い犬は主人の足音を的確に聞き分けるが、ぼくもすっかり耳が肥えてしまった。先日、廊下の階段に散っている滑り止めの砂を踏む音と、幽かな会話が聞こえた。窓から覗いてみると、予測通り宗教の勧誘だった。全身が暗い色の洋服でまとめられており、スカートは長く、髪には艶が無い中年女性の二人組だった。それと真逆の格好をした方が折伏しやすいと思うのだが。
 時計を見ると21時だった。遅い。いつもなら19時前に来るのだ。もしやと思って新聞受けを確かめてみると、水色の紙が入っていた。不在連絡表である。18時から首を長くして待っていたのに、である。チャイムの位置がおかしな所にあるので、それに気づかずたまにノックをする人がいる……いや、待て。ノックの音に気づかぬはずがないし、訪問時間は19時と記してある! やはり起き抜けの軽ワゴンだった!――そこまで考えて、一人合点した。
 裸足で外に出て、チャイムを押してみる。やはり、鳴らない。チャイムの電池切れだ。今どき電池式というのもどうかと思うが、おおむね二年で電池が切れるようだ(ほとんど鳴らないのに!)。
 こういう時、郵便局はとても便利だ。夜間窓口まで出向けば、24時間荷物を受け取る事ができるのだ。早速電話を掛けて(なかなか繋がらない!)、行きがけに単2乾電池を4本買う。今度はマンガンではなくアルカリぢゃい!
 なんの荷物かと云うと、パソコン用のモニタを新調したのだ。中古で買ったり貰ったりした15インチの液晶を五年以上使ってきて、いまだ健在なんだが、そろそろ寿命が近づいているような気がしたので買い換えた。
 これは持論なんだけど、壊れてから買うんじゃ、遅いんだ。壊れる前に売ってしまう。壊れてしまうとただのゴミだからね。
 それに今はモニタって凄く安いんだよ。ぼくが買ったのは19インチのワイドなんだけど、25000円だもん。こうなると液晶テレビのなんと高いことか! ちなみに前と同じ三菱製。五年も保ったので信頼性アリ。車輪の無い製品に関しては優れたメーカーだ。
 眩しいぜ、新しいモニタってやつは。しかしね、ブラウザでの閲覧に関して云えば、ワイドはダメだな。センタリングしてあるサイトならまだしも、左に寄ってるサイトは最悪で、過剰な脂身みたいに右側に余白がたくさんあるのだ! 仕方ないので、左にあるお気に入りのエクスプローラーバーの画面を、右へ無駄に伸ばしております。
 そんなわけで、どなたかお古のモニタを買いませんか。一台四千円、二台まとめてなら七千円で。いや、マジに。
 折角なので壁紙も替えてみる。ぼくのお勧め壁紙サイトはこちら。
 
Wallflowers Society 
 
 ロックな壁紙がてんこ盛り。かなりマニアックな壁紙もあって、重宝しております。ちなみにぼくはレジデンツ
 
 
 


 
 青空文庫というサイトをご存じですか?
青空文庫 
 これ、ちょっと凄いですよ。
 いま現在の法律では、著作権は、作者の死後五十年で消滅するんです。著作権が消滅した作品は誰でも自由に読むことができるんです。それは無償でも構いません。
 ですから、青空文庫では著作権の切れた作品が、なんと六千も掲載されているんです。最初にこのサイトを見たときは「こんなことしていいのか?」と思いましたが、いいんですよ。
 ぼくはパソコンではあまり文芸作品を読まないので、URLを携帯に送って読んでいます。PCモードで閲覧するとかなり読み易いですね。アプリが対応していれば縦書きでも読めるらしい。興味のある人は是非とも行ってみて下さい。驚くと思います。
 

 
 文芸と同じように、音楽作品も著作権が切れたようで、最近は面白いCDも登場してきています。
 スーパーの片隅のワゴンで売られているようないかがわしいCDではなく、海外のレーベル(ドイツ!)が発売している興味深いBOXセットがたくさん出回っているんです。大手CDショップで扱っているので、やばい代物ではないでしょう。特にジャズ系が目立って多くて、ぼくはジャンゴ・ラインハルトを購入しました。
 

 10枚組で1500円。原価なんぼよ。
 
 中身はこうなっとります。

 紙のケース(封筒か?)にCDがナマで入っていました。
 
 他のジャズも多数売っていた。もちろん、マイルスも。いいのか?
 
 
 まだ続きがある。これを見て欲しい。
 
 

 40枚組(725曲!)で5500円だった。原価なんぼよ。
 
 中身はこうなっとります。

 オッ! プラケースじゃん!
 
 20枚しかないが、ちゃんと2in1になっている。それぞれのジャケは、恐ろしくしょぼい。
 この『V.A / Nothing But The Blues』なる前代未聞のCD、ググってもほとんど情報がないので、ぼくがブログに書いた第一号かも知れない。
 つーか、マディはまだ没後五十年経ってねーだろ!
 
 興味のある人はHMVのサイトで探してみて下さい。
 ひと月にCDを54枚も買ったのは、もちろん初めてです。