イレイザーフェイス

 
 肌荒れが思いの外ひどくなってきて病院に行ってきた、フランケンですこです。
 保坂さんの事を茶化したバチが当たったのでしょうか。おそるべし、出家パワー!
 ちょっとですね、人前に出ることが憚られるくらいに荒れてきましてねぇ。これ以上ひどくなる事を想像すると空恐ろしくなったので、大事をとって医者に診てもらう事にしたんです。
 皮膚科に行くのは初めてで、待合い席にはご年配の女性しか居ませんでした。壁には水虫治療のポスターがでかでかと貼られています。北海道のこの時期に、水虫の人なんか居るのかしら。
 
 かくいうぼくも、一度だけ水虫に罹った事があります。当時は蒸し暑い東京での出来事でした。自販機にジュースを買いに行こうとして、同居していた知人の靴を借りたんです。ものの数分で伝染ったようで、数日後、両足の薬指に痒みを覚えました。知人にその事を告げると、彼は嬉々とした瞳で「見せてみろ」と言い、ぼくの靴下を剥ぎ取り、ケタケタと嗤って「そうそう。薬指の付け根からくるんだよなぁ」と満足気に言いました。
 それからというもの、彼はやたらとぼくに対して馴れ馴れしくなって、先輩風を吹かせるようになりました。人に水虫を伝染した罪悪感はおろか、秘技を伝授してやったかような朗色をしていました。
 その後、水虫を北海道に持ち帰って高笑いした事は、言うまでもありません。
 
 医師は壮年の女性でした。諸悪の根元である「パック」を持参してきたので手渡すと、まじまじと見つめながら、ぼくの顔を見ずに言いました。
「何かアレルギーは?」
「ありません」
「ジンマシンは?」
「いいえ」
 医師は小さな溜息をつきました。想い出したように「大昔、漆に負けたことはあります」と言うと、医師の目が一瞬輝いたように見えました。
「マンゴーとかカシューナッツは食べた?」
「いいえ」
 医師はまた黙ってしまった。
「先入観ですかね?」
「先入観?」
「それは百均で買ったやつだから、という」
「そうなの。どうも他の原因がありそうなの」
 さすが医者で、ぼくはこの製品を事前にネットで調べたんですが、肌荒れの報告はゼロで、レビューの評判はすこぶるよろしいのです。
「とりあえず様子をみましょう」という事で、大仰な量の薬を頂戴して帰路へ向かいます。ちなみに医療費は三千円強、無保険ならば一万円で、パックの百倍の値段です。
 帰宅後、薬をまとめて入れてある紙袋を捨てようと思いましたが、もしかしたら被る事になるかも知れないので、とっておく事にしました。
 
 教訓:「へんな色気だしてんじゃねえよ、おれ」
 


 
 関係ないけど、いま話題の「外山恒一政見放送」を貼っておきます。
 

 これ、必ず最後まで観て下さいね。面白さが半減しますから。
 
 ちなみに「中島らもが涙した」という東郷健政見放送も、YouTubeで観る事ができます。世の中には「政見放送マニア」が昔から居るんですよ。