もしも唾が吐けたなら

 
 SAYONARA肉饅頭、ですこです。

 ヒロ吉が『平日呑もう会』に加わり、彼が指定したもっこり真ん中水曜日にファッキンチープな金富士で、さとしと三人で呑み上げる。
 金富士はススキノ店も在るが、狸小路店の方がよりチープで、塩梅が宜しい。値段もサービスも、微妙に違う。
 彼ら二人はパリッとしたスーツ姿で、シャツはボタンダウンで、首元と袖のボタンは二連になっているのが流行らしく、ネクタイの結び目は大きくて――。
 ぼくはと云えば、迷彩JKTにポークパイハット、ボトムは小汚いジーンスで、靴は他人から貰った物だ。
 彼らパリッコ倶楽部に対して「結果を出せば、出世はできるんでしょう?」と訊くと、まったくウザったい様子のジェスチャーで、否定された。
 お客を引っ張って、その上澄みが給料かと思いきや、そこ以外にも戦いが、別のベクトルの醜い戦いがあるらしくて、それを遂行しなければ労働の対価を享受できないみたい。じゃあおれは今のまま、社会不適応者でいいや。面倒臭い事をやった結果、面倒臭い事を呼び寄せて、一体なにがしたいのか。
 なんか腑に落ちないので、釈然としないヒロ吉を、釈然としないまま開き直って、いじめておいた。
 平日は、愉しい。フェア。