I LOVE 地球! アヌスボール、注入!

 
 ですこ行きマース!
 
 ペルーで地震が起こったようですが、いかにも石造家屋の多そうな国なので被害も甚大だったのでしょう、ご冥福をお祈りいたします。刑務所が崩壊して服役囚六百人が大脱走したそうです。凄いですね、これ。恩赦なんか比較にならないくらい、もの凄いカタルシスが噴出したに違いない。
「じ、地震だ!」「凄い揺れだ!」「机の下に潜り込め!」「うわぁぁぁっ!」「ズドドドドド!」「ぎやぁぁぁ!」「……おい」「……」「眩しいな」「まさか!」「クソ刑務所がブッ潰れやがった!」「逃げろぉぉっ!」「うおぉぉぉっ!」「かあちゃーん!」「とうちゃーん!」「セビッチェー!」「セコ・デ・カルネーロ」「ネズミの唐揚げーっ!」「おれのアニータ!」「それはチリだぞー!」
 ペルー(チリ?)といえばナスカの地上絵ですが、図柄の不思議を除けばあのサイズの地上絵を描くことはけっこう簡単なんです。中学校の時に美術の時間で習った模写を想い出してみますと、サンプルに正方形のグリッドを書いて、白紙の方にも同じ大きさのグリッドを書き、そのパーツごとにコツコツ描いて行けばほぼ完璧に写すことができますし、白紙の方のグリッドの大きさを倍にすれば仕上がりも倍になるわけです。枠と絵柄の線を合致させればいいので、大きく描く場合は対角線を入れたり、グリッドを入れ子状にして接点を増やせばいい。無論、直線的な絵柄ならばクリッドは不要で、線を倍々に延ばせばいい。『上空から視なければ全体図を把握することはできない』と言われますけど、彼らが全体図を把握していたことは間違いないでしょう。
 問題は、何のためにあの地上絵を描いたのか、ということですが、古代に栄えていた地域では大抵の場合、向神経物質が介在しています。特に南米インディアンではそれが顕著で、DMTを含有した物質を、男たちが長い管を使ってお互いの鼻孔めがけてスニッフしている。このDMTの原料は、密林に生えている〈ヨポ〉という巨大な樹から採った樹脂であり、これを煮詰めて乾燥させて粉末状にしたものを“スニッフ”する。DMTが経口で服用しても効き目がない理由は胃の酵素によって破壊されるためだが、彼らインディアンたちはうんと昔からそれを知っていた。彼らはシャーマンを指揮者に踊り、歌い、神と交信して霊魂を幻視する――あの不可解な地上絵の絵柄は神との交信のためである、と言えば聞こえはいいが、ぼくが思うに人間というものは古代から“ラリってみたかった”だけのような気がする。繁栄の余韻として酩酊が流行したとも言えるし、終業後の赤提灯も同じことだ。日本は先進国の中でもずば抜けた“酒精天国”だが、ハード・ドラッグの蔓延は他の国と比べると少ない。酒を禁じられている国では大麻をパッカパカ吸うし、それすら禁忌ならばモルモンティーを飲み、ニトライトで鼻の先を赤くしたり、コーヒーをがぶ飲みし(がぶ飲みコーヒーという商品だってある!)チョコレートを貪り喰う。素の自分、シラフの方が人生を正確に生きられるし、隠された悪を見抜くことだって簡単なのに、どうして人間は酩酊を求めるのだろうか?
 この疑問については、中島らも著〈バンド・オブ・ザ・ナイト〉の文庫にあとがきを寄せている町田康の文章が面白い。
 
 

バンド・オブ・ザ・ナイト (講談社文庫)
中島 らも
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 先日までの猛暑もすっかり影を潜め、涼しい北海道です。道行く人の長袖が増えました。お盆休みの時、あまりに暑かったので以前から噂に聞いていた〈コンビニ・クーラー〉なる商品が気になって調べてみたんですが、この製品は壁に穴を開けたりする必要がない据え置き型のクーラーで、謳い文句は「室温マイナス一〇度!」とのことで、アラ、イイデスネ、と思って色々と見てみていると、「背面から熱風が出る」とのレビューがあって、なるほど! と思ったわけです。それでエアコンには排熱のために壁に穴を開けなければならないのか、と。確かに、冷蔵庫の背中は、めちゃくちゃに、熱い。こうなりますと、熱をもって熱を制すわけですから、じぶんち以外はどんどん暑くなっていきますね。「うむ! 地球が暑くなるからクーラーを止めよう!」なんていう人は希有で、しかも自分の熱に酔っているうざったい人なので、ますます暑苦しい。
 もはや涼しい身として言いますけど、みんな暑さにうるさすぎですよ。そのくせ秋になったら温暖化がどうのと騒ぐんでしょう? 地球の歴史からみれば今は“超氷河期”で、生物の九割が絶滅したと言われている氷河時代の温度は二十二度ですから、十五度の現在よりも七度も高いわけです。それでも涼しく過ごしたくて、なおかつ温暖化が心配なのなら、温暖化への寄与度で一番高いのは二酸化炭素で、二番目はメタンですから、人間が死ぬことがいちばん地球に優しいわけで、ジケツするのなら肛門をガムテープで塞いでからにしましょうネ! じにだぐなーい(死にたくない)、いぎだーい(生きたい)、という人は子供を作らなければいいんです。すでに子供がいるのなら仕方ない、死ぬまで生きましょう。そう考えると、なんだかぼくって地球にとっても優しいゾ。オナニーばっかりして、興が乗れば自分の口をガムテープで塞いだりもしますし。