我が道を進みなさい。ただし、なるべく派手な格好で。

 
 アゴの先がケツみたいに割れている人を見るとニコチャン大王を想い出す、ですこです。アゴの両側にえのき茸を二本ひっつけたい衝動に駆られるんです。
 
 以前に書いたと思いますけど、海外大物アーティストたちが続々とレコード会社を離れてネットで楽曲を配信しているんですが、レディオヘッドがやってくれました――『価格はあなたが決めて下さい』、だとよ。一人ごっつ状態。
 新譜『IN RAIBOWS』は彼らのアルバム公式サイト(http://www.inrainbows.com/)からダウンロードできます。ちょっと怪しげなサイトだったけど、英語オンチのぼくでもできたので、誰でもできるはずです。で、お金なんですけど、千円くらいは払うつもりだったんですが、1ユーロが何円なのかも知らないし、支払い画面が理解不能だったので「00.00」と打ち込んで、住所等を書き(本当の住所です)、ポチッとするとDLできたので驚いた。
 調べてみると、現在まで無料でDLした人は全体の六割で、支払った四割の総額は明記されていなかったのでわからないけど、ダイジョブなのかしら? でもたぶん半数しかお金を払わないことを見越してやってるんだろうし、CDを売ることに比べるとコストは激減するわけだから、ペイできるんでしょうね。
 もっとも、こんな“冒険”ができるのは、彼らが人気者かつリスナーとの信頼関係があるからであって、一介のアーティストが同じことをやっても撃沈するでしょう。まあ、ぼくも金は払ってませんが(こら)。
 でもですね、イイモノにはお金を払うべきで、更に『イイモノは高価でなければならない』と思ってますよ。うんと昔に坂本龍一が「音楽の価格が均一なのはおかしい」と熱弁をふるっていましたけど、ついにその時代が到来したわけです。
 ぼくがタダでDLした最大の理由は「レディオヘッドのファンじゃないから」で、彼らのCDは1stから3rdまで所有していますけど、以降から興味が失せてしまった。「planet telex」や「LET DOWN」を演ってる彼らが好きだったが、どんどん変な方向に――たぶんヨーロッパ的な方に――行ってしまい、ぼくの興味は失せてしまったが、逆に彼らは不動の地位を築いた。正直、ここまで大物になるとは思わなかった。殊に日本でこんなに人気がでるとは!
 で、いまも『IN RAIBOWS』を聴いてるんですけど、やっぱり受けつけないなぁ。「あー、買わなくてよかった」というのが正直な感想です。音楽って所詮は好みなので、レディオヘッド・ファンの方(クレイトフルデッド風に、レディオヘッズ?)、お気を悪くなさらぬよう。
 想い返せば、彼らがこういった音楽性を獲得したのも頷ける。かつて月に三冊の音楽雑誌を読み漁っていた頃、2nd『the bends』のときの彼らは他のバンドとは違って非常に音楽的な話をしていたっけ――「え? ビートルズだって? おいおい、そんなことよりもマイルス・デイビスのことを訊いてくれよ」といった具合に。同時期に人気を博していたブラーは、エドウィン・コリンズの話をしていた。
「UKひねくれPOP最後の継承者」と名高かったブラーは(ですこ談)、アメリカのオルタナ(というかペイブメント)の物真似をして消えてしまったけど、レディオヘッドは我が道を突き進んだということなんでしょう。ぼくの耳には、彼らの音楽がイギリスを飛び出して、ヨーロッパに行ったように聞こえる。
 そういえば先日、XTCのアルバム群を聴き直してみた。ほんっとうに凄い音楽だと思った。UKミュージック以外のなにものでもないのに、常に新しい裏切りがある。ライブは演らないインドア派なんだけど、音楽がブッ飛んでる。凄すぎて鼻血が止まんねぇよ。
 ケミカル・ブラザーズは「ぼくらの音楽よりもヴェルヴェット・アンダーグラウンドを聴くべきだ!」と言い、アンダーワールドは「ぼくのアイドルはキャプテン・ビーフハートさ!」と言った。プリミティブな素材を用いて現代の欲求に応えることが、クリエイティビティなのかもしれない。
 
 そういえば、アンディ・パートリッジとロバート・シュナイダーが組んでアルバムを出す話はどこに行ったのだろう?
 あー、そういえば、スズキとフィアットが組んで「スズキ・パンダを開発する」という話は、いったいどうなったのか?
 どっちもぼくに直球ストライクだったのに。最近、ストライクが少なくて、ちょっとつまらない。
 なんか、たのしいことないですか。