世界と視点

 
 まず、深呼吸をしよう。
 そのあと数秒間、目を閉じてみよう。
 そうだな、煙草に火をつけてみるのもいいかもしれない。吸わない人は紅茶でも淹れようか。
 そう、なにか小さな儀式のあとの方がいい。
 準備はいいかな? 心はまっさらになったかい? 魔法を信じるかい?
 オーケー、じゃあ始めよう。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 


 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 上の文字をじっと見つめて欲しい。穏やかに、離れた場所で(このヒロインを!)。
 どうだろうか、「イナバウアーをしている人」に見えただろうか、ですこです。
 これを視えない人は心が荒んでいます。視えた人は、とっとと心療内科にでも行って下さい。そして紙に「」を書いて先生にこう言うんです――「先生、わたしはこれが卒倒したてんかん患者に視えるのです」
 
 
 不意な休日、昼前に起床して冷蔵庫を空けるが荒涼としている。マヨネーズ、蓋がカピカピになったケチャップ、長葱、座薬、自家製のかえしがあるだけだ。
 冷凍庫には豚バラと生蕎麦があった。うむ、肉そばを作ろう。
 最大の節約術は買い物へ行かないことである、とのアリストテレスの格言に従い、しばらくスーパーへ行かなかったのだ。
 昆布を敷いて大量の鰹節を投入する。ここでは節約しない。味見をしつつかえしを入れる。うまい、うますぎる。
 
 
 朝陽の当たらない家だが、陽の高いうちに撮影を開始する。ギターを2本、ヤフオクで売却するためだ。やっぱり自然光がいい。
 三脚とD70とGX100、最高の布陣で挑む。リサイズ、シャープネス、コントラスト、カラーバランス、セールストーク(?)を書いているうちに4時間が経過する。うーん、面倒臭いけど楽しいぞ。
 共にレアなギターなので名残惜しい気もするが、あまり弾かないので持ち腐れている。だったら売っちゃえ売っちゃえ、である。無論、買っちゃえ買っちゃえ人間でもある。貰ったものはあげちゃえあげちゃえ、だ。嗚呼、なんという真理だろうか!
 
 
 DISCASで借りた千原兄弟のDVDを鑑賞する。相当に面白い。相変わらず凄い才能ですよ。
 もっと評価されるべきだ、と常々思っていたんだけど、年末年始とテレビ出演も多かったので嬉しかった。もっともっと売れて欲しい。
 
 
 簪(かんざし)はみなさん御存知の通り女性の髪を飾る装身具ですが、針みたいに尖ってますよね。刺さったら痛そうです。装身具があそこまで鋭利な必要があるんでしょうか?
 簪の起源については諸説ありますが、今回は台湾にスポットを当ててみます。
 中国と関係が深い台湾にも、当然むかしから簪は存在していました。それは嫁入り道具の一つとして必須であり、鉄針や銀針で出来ていて、長さは15センチほどあったようです。
 なぜそんなに鋭利で長い物を身に付けていたのかといえば、もちろん人を刺すためです。無論、対象は旦那です。日々のぞんざいな扱いに耐えきれず、ドラクエの毒針よろしく急所を狙って一撃で仕留める――のではなく、これは愛の一撃のために在ります。
 台湾の一部では、性行為こそが人生最大の快楽かつ目的だった時代もあったようで、察するに途轍もなく濃密なセックスをしていたと思われます。そこまで性行為に熱中していると、希に起こるとされている腹上死の確率も上がるようです。
 ここで簪の出番であります。
 上に乗っている旦那が腹上死の様相を見せるやいなや、妻はサッと体位を入れ替えてスッと簪を引き抜き、それを旦那の臀部にズブッと差し込めばあら不思議、息を吹き返すのでした。そしてもう一度、始まるのです。
 この話を読んだとき、ぼくはとても感動して、台湾の人と結婚したいと思いました。
 考えてみれば、台湾というのはパソコンパーツの製造をほぼ独占していて、おそらくは工場も女性が多いはずです。簪で“蘇生の急所”を狙い撃ちできる土壌があるのなら、マザーボードのハンダ付けなどは屁でもないでしょう。
 彼女たちならば、ただの一撃で前立腺を仕留めるに違いありません。