魅惑のチャイナ

 
 チャイナドレスを着てみたい、ですこです。そしてアオザイ姿の女性と交わりたい(おまえ変態だろ)。
 
 

 ぼくが持っているCDの中で最もキュートなジャケのこのアルバムを知っている人がいるだろうか? もし所有しているのなら、おそらくあなたは「レコード・コレクターズ 2002年7月号」も同時に持っていて、そのたかが月刊誌を貴重な永久保存版として常に本棚から取り出しやすい位置に並べているに違いない。フチは汚れていて角に折り目がついているだろう。無数の赤線が引いてあるだろう。ある日、レコ屋を徘徊していると奇妙な、見覚えのあるジャケが飛び込んでくる――「あれは何だったか……そうだ! ヒッコリー・ウインドだ!」。永らく廃盤だったが、2003年にこのアルバムは初CD化されている。運良く見つけたあなたは財布の中身も気にせずにレジへ走り、照れくさそうに息を切らせて、しかし思い詰めたような面持ちで金を払うのだ。これは“そういうアルバム”である。
 解説をレココレから抜粋してみよう。

日本では極少数のサイケ・コレクターのみに知られるアルバム。しかも欧米ではヴィンテージ・サイケとして高く支持されている。自主盤ならではのベースメントな手触り、シンプルに削ぎ落とされたフォーク・ロックは燻し銀の如しで、聴くほどに味わいを増す。ひなびたバラードに始まり、ファズのバーストするサイケデリック、素朴でピュアなフォーク・ロック、シャーラタンズを思わせるアメリカならではのノスタルジックなナンバーと続き、一曲一曲が原石の輝きだ。以前LPで限定発売されたが、現在廃盤。後に「BF Trike」と名乗り、録音も残している。

 なかなかの名文で、これが料理なら食べてみたくなるだろう。音楽を言葉で説明しつくせるはずもなく、たとえばAmazonなどで試聴を勧めることは可能だが、これほどマイナーな音楽のサンプルなんかあるはずがない。
 
 このCDには、LPにはなかったボーナストラックが収録されており、特に「Come A Little Closer」という曲が図抜けて良かった。同名の曲はエタ・ジェイムスでヒットしたが、これは同名異曲で、おそらく彼らのオリジナルソングだと思われる。
 そうして散々ネットで検索しているうち、「Hickory Wind Come A Little Closer」とググってみると非常に興味深いサイトに到達した。
 中国のサイトと思わしきそこでは、なんと全曲フルで試聴できるのだ!(要RealPlayer
 
Come A Little Closer / Hickory Wind
 
 音質が悪いことを差し引いても(録音の時点でローファイだが!)、なんという無法地帯だろうか! そしてなんというマニアックさ! 素晴らしい!
 試してみると、他にも無数にヒットする。
 
Sweet Baby James(Live) / James Taylor
 
 こんなものまで!(大好きな青春ナンバー) すごいぞチャイナ!
Lyon / Pinback
 
 これ便利だなぁ。さすが革命国家。まさかこんな音質(20Kbps)をDLして楽しむ人はいないだろうから、試聴としてはかなり使える。「著作権違反ダ!」と目くじらを立てるのは早計で、たとえば「これいい曲なんですよ〜♪」とリンクを貼って、それを聴いた人がそのCDを買えばアーティストにお金が行くからね。
 ちなみにHickory Windは既に廃盤で、Amazonの中古価格は約2万円と高騰している。こういった廃盤を聴くためにも、こういうサイトは有効に活用するべきだと思うなぁ。もちろん購入を前提として。愛だろ、愛。
 

 中身もキュート(な使い回し)。