余談も積もれば日記となる

 
 母から電話が来る。
「ぼうごどうぢにびられなーい!(もうこのウチに居られない)」と号泣している。
代わった姉は、元来の金切り声にビッグマフのラムズヘッドを掛けたような爆音で、何をしゃべっているのか聞き取ることができない。
 しばらくギュインギュイン鳴っていて、義兄に代わった。どうやら些細なことで親子喧嘩が始まったようだ。
 姉の所に行って約4ヶ月、よく今までもったなと思う。もっと早くこういう電話が来ると予想していた。
 ストレスの爆発だ。普通この爆発は、近くの者を巻き込んで連鎖爆発を起こすのだが、ホトケの義兄だけは平静を保っている。もはや涅槃だ。
 
 翌日、母から再度電話が来る。
「来月、札幌に帰るから」と。
 ギクッとしたが、声は穏やかだった。
 姉に代わると、どうやら同窓会があるらしいことを知って、胸を撫で下ろす。
 温泉街で行われるらしく、ぼくも呼ばれてしまった。
 温泉は嫌いだが、行くしかない。
 鰻のタレよろしく継ぎ足しの温泉、使い回しの会席料理、機嫌の悪い看護婦みたいな仲居、一度も漂白されていない俎板、併設されているスナックで煙草をふかす水カマキリみたいに筋張った中年女、鶏の足みたいに爬虫類じみているオーナーの妻らしき老獪そうな婆――。
 温泉街特有の、あのじっとりと湿度が高くて、物悲しさとは真逆に位置する荒廃感が、苦手だ。
 
 湯に浸かることが嫌いなのは、あるトラウマに起因している。
 幼い頃、函館の親戚の家へ行くと「みんなで銭湯に行こう」ということになった。
 その頃はむしろお風呂が好きだった。子供にとってはプールに等しい。
 湯気の向こうにヒヨコのおもちゃが浮いていた。はしゃぎながら近づいていくと、それはヒヨコサイズのウンコだった。
 確かに遠目でも薄汚れていたが、それは銭湯が用意してあるおもちゃで、公共性のためだろうと思っていた。
 色艶から察するに、子供のウンコだと思われた。
 大人のウンコは沈むが子供のウンコが浮くことを初めて知った。まじまじと見つめてみると、質量と硬度は低そうだった。
 つまり、普通のチョコとエアインチョコの違いと言えばわかりやすいかもしれません(どうでもいいわ)。
 
 余談だが、というかこの日記自体が余談の寄せ集めで構成されているのだが、痔の人は湯船の中でウンコを垂れると(垂れるゆーな)苦痛を伴うことなく自然に排便ができます。
 かつて疣痔(疣という漢字はとても不吉な象形だ)で悩んでいたときに上記の話を聞いて、百均で買ってきた洗面器にぬるま湯を張って、尻を半分だけ浸けてブリブリと垂れてみると、確かに痛くはなかったんだけど、ウンコと一緒に涙が出ました。あまりの情けなさに。わしゃウミガメか。
 ウンコが入った洗面器を、バランス取りながら両手で持ってゆっくりとトイレに運んで行く様を想像してみて下さい。ちょっと慎重なキチガイです。
 え? その洗面器? 普通に使ってますが、ナニカ?
 そんなわけで、来月は温泉の湯船に大人のエアインウンコを垂れてやろうと目論んでおります。
 
 DISCASから映画『ソドムの市』が届く。
 再生して驚いた。邦画だった。それも、大学生がサークルで作ったかのような、電撃的なクオリティの低さだった。
 そうなると「よし! じゃあそのB級テイストを愉しもう!」と思って見ていたが、それすらも不可能なギャラクティカマグナム級の超絶的駄作だった。
 いやホント凄いから。「テレビ画面をMOJO HAND!」寸前です。
 
 GyaOで吉本のお笑い動画を見まくる。
 やっぱりフリートークなら、ダイノジが群を抜いて面白い。
 でも大谷さんって、本当に暗い人なんだなと思う。
 お笑いって、ネタを作る人は根暗な方がいいし、そうじゃないと創造ができないという側面もあるんだけど、暗さにもグラデーションみたいなものがあると思うんだな。視点の角度なのかもしれないけど。
 大谷さんは限りなく黒に近いなぁ。なんつーか、圧倒的に打たれ弱いんです。で、脆い人間ってどこかに魅力を湛えてるんだけど、大谷さんにはそれがまるで無いんだな。
 なんだろうね、この感じってば。面白いんだけど、ちょっと痛々しいんだな。しかもその痛々しさに、たとえば青春の悲壮美みたいなものが内包されていないんだな。
 なんというか、たぶん復讐なんだろうと思う。そういう暗さを、ぼくは感じましたね。
 でも面白いよ。みなさんも見て下さい。
 あとは、ノンスタイルが面白かった。
 かつてのオールザッツ漫才で彼らの存在は知ってたけど、面白くなってるなぁ。シモネタとかないし、綺麗なんだけど、ボケの方は才能あるなぁ。やー、売れて欲しい。つーか売れる。つーかもう売れてる(たぶん)。
 あとは、コンマニセンチのやたらテンション高い方が32歳だと知って、大いに笑いました。「ルミか」も。バカだなぁ、今日日の三十路って。
 
『ゆるせない話』の第2弾をYouTubeで見る。
 猫舌の話に声を上げて共感する。
 みなさん、ちよしくんとちゃんこ鍋に行ってみて下さい。
 ほんっと腹立ちますから。
 ちよしくん、今度はおでん喰いに行きましょう。ぼくはハリセンを持参します。っつーか、針を持参します。ハフハフする度にプスプス刺します。
 
 さて、明日はKEIS○Nのライブです。開演時間も知りませんが。