ゲーマー日記
パーティーのうち4人死亡しながらエスターク撃破。
ギリギリだったのは、ベホマズンが使える回復要員がいなかったことと、世界樹の葉やしずくを袋の中に入れっぱなしだったからか。
やはしラスボスはギリギリで倒すのが面白いぜ。
DSを閉じて、N村さんに「呑みに行くぞー!」とメールを入れる。
彼は人の誘いを断らないことで有名だ。断らなさすぎて一時期は消費者金融のお世話になっていたこともあるという、筋金入りのコトワラナーである。
タイヤの空気圧を60PSIにして、19時、ススキノど真ん中に在る〈北の台所〉へ。
高い家賃も相まって毎月赤字でも成り立っているのは、オーナーが道楽でやっているから。
抜群の立地条件にもかかわらず客が来ないのは、料理がいまいちなことと、ほとんど内輪の溜まり場と化していて、妙なオーラを放っているからだろう。
乾杯後、N村さんが「飲み放題とかないの?」と切り出すので「そうそう。最近多いよね、ノミホ!」と援護射撃をして、100分=1500円のイレギュラー・プランに乗っかり、赤字に拍車を掛ける。
見知らぬ漁師が直で売り込んで来たというししゃものフライ、チーズの味噌漬け、モッツァレラチーズのわさび醤油和え(これうまかった)。
すると、N村さんが紙袋から数冊の文庫本を取り出して店主に手渡している。
「いやー面白かったわー」「だろ?」などと盛り上がっている。聞けば山崎豊子の小説を貸し合っこしているらしく、常連の間では読書ブームらしい。
ぼくの中では、N村さんが小説を読んでいることがとても意外だったので、笑いを堪えてうつむいていた。
するとN村さんが「ですこは本とか読むの?」と訊いてくるので、「まあたまに。小説はあんまし読まないかな」と答える。
「白い巨塔は読んだ方がいいよー」とか言ってくるので、「ぼんちの人ね」と言うと、「ぼんち? おさむ? わははは! 華麗なる一族の人だってばー」とか言うので、「井上靖の弟子でしょ、〈北の海〉の」と返したところで、恥ずかしくなってきた。
自分の読書遍歴をしゃべるのは、もの凄く恥ずかしい。知識の量って、ある程度まで行くと恥に向かってゴロンと反転する。無駄なものが頭に詰まっているというのは、おそろしく恥ずかしいことなのだ。
店主も交えて花村萬月さんの話で盛り上がる。あの筆力はパネェ、と盛り上がる。N村さんには「〈ブルース〉を読んだ後に〈鬱〉を読むべし。そして王国紀へ」と勧めておく。
図々しくもノミホを延長して、2時散会。
腹が減った。今日くらいはいいだろう、とUターンして駅前通をシャーと南下する。
懐かしのM龍へ。他の客はラーメンを喰っているが、甘いっ! ここは餃子定食が売りなのだ。今日日値上げもせずに、スープ付きで450円也。おすすめです。あと、ザンギがかなりうまい。
カウンターには70sを彷彿とさせるデザインの名刺が……指笛とな?
YouTubeで検索してみると、出てきた。あるんですね、指笛文化って。ちょっと感動。
ベッドに倒れ込む。ゲップが臭い。
起床して最後のすごろく場をプレイ。かれこれ50回はやっているが、難易度が高すぎる。「また落とし穴かよ!」と思ったらじつはショートカットで、残30回くらいのままあっさりクリア。プチタークとプオーンを仲間にするも、いままでの戦友に対する愛着とがせめぎ合い、こんなことはもうやめようと決意する。
ゲームって面白いけど、同じくらい虚しいなぁ。