みんな凄いなぁ

 
 天気の良い日曜日の労働というのはいささか憂鬱になりますが、西日が差してくる頃になると、一回りして、少しだけ平和な気持ちになるのでありました。
 平日とは違って、日曜の西日による影の傾倒は、明日へお祈りしているようでありました。
 昼食はカツ重を頂きました。1,500円と高価でしたが、自分で作った方が断然うまいと感じました。味噌汁の具が葱と若芽しかないことに、怒りを覚えました。
 ただ、カツ重に干し椎茸が入っていて、それは意外とおいしかったのでありました。
 帰宅後、シャンプーと歯磨き粉を買いに出掛けます。
 一体いつまで、粉じゃないのに歯磨き粉と呼ばなければならないのでしょうか。そろそろ歯磨きペーストとかにしませんか。
 彼女の蓄膿が治った途端にフラれてしまった歯槽膿漏の男性用には、歯磨きペーソスとかどうですか。味はレモン水(初恋風味)。
 そこのドラッグストアは二階が百均なので、日曜の午後なんかは激混みなのです。駐車場の入り口には列ができています。
 ですから、自転車で向かうことにします。
 到着すると、自転車置き場までもが混んでいて、停める場所がありません。ウロウロしながら旗の立っているポールに立て掛けて駐輪しようとすると、駐車場の誘導と駐輪場の整理を兼ねている警備員が「そこは邪魔になるからダメです」と言うので、別のポールに立て掛けようとすると「あー、そこもダメダメ!」と語気を強めてきやがったので、仕方なく店舗のガラスに立て掛ける。すると、また何か言って来そうな顔をしていたので「スタンドがないんです」と言ってもキョトンとしているので、後輪の車軸と地面を往復するようにジェスチャーで示すと、警備員は右手を挙げて敬礼したのです。
 なんでおまえもジェスチャーなんだよ。それも急に。
 最近のドラッグストアというのは様々なものがディスカウントされておりまして、豆腐や乳製品など、いわゆる日配品も安いのです。反面、ドラッグストアのイメージとは違って、お目当てだったシャンプー等はさほど安くないのですが、そういった物を買うときはなぜかドラッグストアに行きたくなってしまう人間の心理にかまかけて、いつしか食料品も扱うようになったことが、近年のドラッグストアにおける成功の秘訣だと思われます。
 薬やビタミン剤を扱っているドラッグストアで買う袋ラーメンには、微量の免罪符が混入しているのです。禁煙グッズと煙草のカートンが同居しているカオスこそが、ドラッグストアが人気を博している所以なのではないでしょうか。
 ドラッグストアといえば、かつて押す人(プッシャーのことです)から何度かお茶を買っていたのですが、自虐なのかギャグなのか、待ち合わせ場所は決まってドラッグストアの前でした。
 ぼくは嗜む程度にしかお茶を喫わなかったので、良い客ではありませんでしたが、在庫の鮮度もありますし、なにより押す人はお金が欲しいので、度々電話が掛かってくるのです。
 これには少しウンザリしましたし、なにより芋づる式にパクられたらたまったもんじぁありません。けれど、無下に断ることもまた危険なのです。
 押す人は、必ず逮捕されます。当然、尋問で売った人を追求されます。そのとき、押す人の頭に浮かぶようなインパクトを与えてはいけません。
 やんわりと断るか、あるいは値切ることで敢えて嫌われてしまうことです(ぼくは後者を選択しました)。その後は、着信を拒否します。
 しかし、これは依存性のないお茶だからできることであり、白粉の場合は真逆の構造となりましょう。
 そして、押す人は大抵の場合、白粉も売っています。これこそが、世間で言われる「ドラッグのグレードアップ理論」に他なりません。
 つまり、必要な物だけを手に入れる知識が必要であり、同時に拒絶する勇気も必要です。イリーガルなことをコッソリと愉しむためには、それなりの労力も必須なのです。
 これは大事なことなんですが、ほとんどの押す人は、まともじゃありません。ですから、まともな付き合いはしないことです。
 そうなると、「まともって何なんだ?」という疑問が浮かびます。
 ぼくはここにとても興味があります。ドラッグ云々ではなく、善悪と意識の問題が根底にあると思えるからです。
 続けるとややこしくなるので、やめておきます。
 昨夜、お手製の辛汁を用意して、生蕎麦を茹でた瞬間、異様な臭いがしたのです。完全に腐っておりました。
 ですから、ドラッグストアでそうめんを買ってみました。揖保乃糸です。当たり前ですが、乾麺は安心ですね。
 再度帰宅して、オリムピックのニュースを観ます。
 谷亮子が五大会連続出場ということに、改めて驚きました。
 しかも、間の世界柔道選手権もほとんど金メダルですし。パネェです。
 そして、48kg級の谷亮子のスッピン姿を見るたびに、ぼくは思うのです。
 旦那は無差別級だな、って。