Que sera sera
話題のグーグル・ストリートビューで我が家を検索してみる。
驚いた。在宅じゃなくて良かった、と安堵するくらい鮮明じゃないか!
我がアパートは全六戸、出窓が二つある。
出窓と書くと、早朝の小鳥の鳴き声に誘われてカーテンを開け、「小鳥さんたち! オッハー!」という絵が浮かぶだろうけど(古いわ)、我が家の出窓は両サイド10cmほどしか開かないという、極めて使い勝手が悪い窓なのだ。
だから越してきた当初は「こりゃ火事なったら死ぬな」と思ったので、窓際に破壊用の木刀を立て掛けていた。
アパート居住者の内で、出窓に何も飾っていないのは我が家だけである。みなさんそれぞれ観葉植物等を飾っている。
ぼくも一時期〈THE KNACK〉やらの、それほど重要じゃないアナログジャケットを飾っていたこともあるんだけど、直射日光を浴びてグニャングニャンになってしまった(捨てました)。
あとは、生首の形をした等身大の貯金箱なんかも飾ったりしたんだけど、外から見るとあまりに気味が悪いので、やっぱり捨てた(袋に入れず裸のまま)。
それに、冬は異常に寒いので、防寒として窓全体にエアキャップシートを貼るようになってからは、すっかり殺風景になってしまった。
出窓って、ぜんぜん良くない。外気は入らないわ寒いわで、最悪です。
そんなわけで、住所を知ってる人は探してみて下さい。いちばん殺風景な部屋がぼくの住処です。
つーかこのストリートビュー、やばいんじゃないのー。どんだけー!
映画〈キル・ビル2〉鑑賞。
いま分かったんだけど、これって往年の香港カンフー映画へのオマージュかしら? というか、動きがトロいのでギャグなのかもしれない。どうなんだ?!
映画〈ブルーベルベット〉鑑賞。
主人公やその他の佇まいがバタ臭えなぁと思ったら、もう20年以上も前の映画なのね。内容はよくわからなかったけど、デニス・ホッパーのキレた演技はハマリ役だったな。かっこいいぜ!
デニス・ホッパーの写真展(確かパルコ)を観に行ったのは、12年くらい前かな。あの人は写真好きなんだよね。で、当時ぼくも欲しかった〈Nikon 35Ti〉という高級コンパクトカメラを使っていて、興味があった。ちっちゃいくせに高価で手がでなかったんだ。
全部モノクロ写真で、すべて日本で撮った写真だったっけ。
肝心の写真は、まあ、デニス・ホッパーが撮ったんじゃなければ、完全にクソだったな……。
まあでもいいじゃない。デニス・ホッパーはかっこいいんだし。なんか名前がかっこいい。ラジコンみたい。
親戚であるKからの着信を見て、ギョッとして、「やっぱり俺もかーい!」と思い、それは的中した。
Kはぼくよりも二つ年下、市内在住。兄のSはKの一つ上。つまり、彼らとはそれぞれ一つづつ歳が離れていて、ぼくが年長だ。彼らの母は、ぼくの母の二番目の妹である。
幼い頃、SとKはよくウチに遊びに来た。駅まで迎えに行ってから、母と叔母をそっちのけで「よし! 競争だ!」と言っては、ウチまでかけっこをしていた。近道を熟知していたぼくが負けることはなかった。
兄であるSはトンデモナイ馬鹿で、エピソードは尽きない。
例えば、少年期によく見られるもみあげ近くの色素沈着が気に入らなく(若かりし日の近藤真彦のような)、三日三晩擦り続けて血みどろ・かさぶたになって、より色を濃くしたり。
あるいは、頭髪を金色にしようと、プラモデル用のカラースプレーを一本使い切り、それを落とそうと今度は桶に大量のラッカーシンナー入れて頭を漬けたりと、パネェ馬鹿なんである。
そんな兄を見て育ったせいか、弟のKはまともだった。けれど、夜尿症がひどかった。
ウチに泊まりにきては夜尿症をするKを、母はひどく叱咤していた。
Kの敷き布団の上にビニールを敷くものだから、寝返りを打つ度にカサカサと音が鳴って、ぼくたちはいつも寝不足だった。
Kにとってのプッレシャーは、そのまま膀胱への圧力だった。
朝、母はKを責める。それは傍から見ても非道いものだった。
末っ子であるぼくは、ここでは年長者だった。ましてや彼らは親戚といっても余所の子だった。これはやらないといけない、そう思った。
「もうKを責めるな!」
これが、ぼくが母を大声で非難した最初である( ;∀;)イイハナシダナー。これはよく憶えている。
その頃、我が家は〈積み木崩し〉のような有様で、むちゃくちゃだった。そのせいで母もまいっていて、ヒステリックだった。ぼくに向くことはなかった矛先として、夜尿症のKは格好のターゲットだった。
ガキとはいえ、自分の家は良く見せたい。当時は荒れていた家庭の様相を、親戚にだって悟られたくなかった。だから、彼らが来るたびに小遣いを叩いて大量のお菓子をコッソリ用意しておいた。消灯後に「ジャンジャジャーン!」とやるんである。
どうやら母も憶えているらしく、Kの話になると「アンタあのとき怒ったわね」と言う。その度に気恥ずかしいが、それは母も一緒なんだろう。
さて、Kから来た電話の内容は「披露宴をやるから来て欲しい」というものだった。
あの夜尿症のKがついに!――と感動することはなかった。
なぜなら、二回目だから。
相手もバツイチ、連れ子二人、たぶん出会いは安スナック。いや、それはいい。いいじゃないか。愛し合えよ、合っちゃえよ!
問題は、中古の一戸建てを買ったことにある。そしてそれは兄のSに対抗したと思われる。
Sが家を買ったとの報せを聞いた時点で「ヤバイな」と思ったが、続いてKの報せを聞いて「こいつら変わってねえな」と思った。
人間、大人になると変わる部分もあるんだけど、本質的なところは案外変わらない。これは年長者の意見である。
そしてなにより、彼らのその無謀な気質は、完全に親父譲りである。それに愛想を尽かしたその妻、つまり叔母は、今年の夏に離婚すると宣言しており、新しい住処も決まっていると言う。
先月、温泉宿で「え? ですこは電子レンジ余ってるの? 新しい家に持ってきて!」などと言っているじゃないか。
それらが渾然一体となった“カオス披露宴”、いったい誰が行くというんですか。
さてと、「綺麗な×を書く練習」を始めますわ。