お元気ですか

 
 ご無沙汰しております。北海モリッシーです。
 以前の更新から早一ヶ月強、毎日のようにスパムコメントも現れ始め、売れないグラビアアイドルの恥丘の脇みたいになっているのにもかかわらず、毎日訪れて下さる貴方たちに言いたい――時間は有意義に使いたまえ。
 
 年始から結構忙しくて、今月なんかは深夜や早朝四時から仕事なんかもあって、最近やっと落ち着いてきた。多忙だからといって腐っても仕方がないので、毎日朗らかに過ごしているけど、かといって仕事があるだけ有り難い、とは思わない。良くても悪くても、他人と比べたって無意味だし。
 
 大手企業が軒並み減益で、放り出された派遣を雇おうと、大手ラーメンチェーンや製造業などが求人を出して「人が集まらない」と嘆いているようだが、当たり前でしょー。だってイヤだもん。ヤングメンたちがおばちゃんに混じって、味の浸みたイカの耳を網にひたすら並べるとか、イヤでしょー。これ、ぼくが高校生の時に近所の珍味工場で一ヶ月だけやったアルバイトだよ。精神的にキツかったなぁ。担当の社員が「ですこくん、製造業はやめなさい」と言った猫背は今でもよく憶えている。で、仕事が終って帰りがけ、自転車に乗って小さいレンタルビデオ店でエロビデオ(店主公認)を借りてたんだけど、全身に珍味の臭いが染みついていることに気がついて「ああ、辞めよう」と思ったね。勘違いされたくなかった。いや、勘違いじゃないんだけど。これ以上イカ臭さがプラスされるのが耐え難かったわけだ。で、今度はまたすぐ近くのコロッケ工場に行ったんだけど、全身防備のままクソ寒い冷凍室で千個くらいの冷凍コロッケ(いま冷凍庫六ヶと変換された)が雪崩落ちてくる様を見て、三時間で辞めたな。要らねえつってんのに「給料取りに来い」の一点張りで、恥ずかしながら取りに行って参りまして、その足でパチンコやったら、働いた分はものの数分で消えたな。あの時の帰り道、労働っちゅーものを初めて考えたね。その後は、時給で働くことをやめて、大工の義兄の手伝いをしてた。バブルの名残があったから、日給は一万円だったね。デカイよ、高校生で一万円は。賃金はどうやって算出されるのかを考え始めたのもその頃だったかな。基本は、単純にキツい仕事は金が良いということで、且つ奴隷の何が非道いって、一番キツイのに一番安いところだと思ったな。なぜキツい仕事に就いたのかといえば、ぶっちゃけ学がないからだけど、受験や勉強ってもの凄く公平にできていて、つまりやれば誰でもできるわけだけど、その時期を、人生八十年とすればほんの数年を逃しただけで、長いあいだ面倒臭いことになる。だから、あぶれた人たちは価値を創らなきゃなんない。価値とはなにか。ツバメの巣はなぜ高価なのか。あんなヨダレの編み物が。どうしてウンコを黄金と呼ぶのだろうか。
 
 カテゴリに料理を増やして誤魔化すことにする。が、料理というものは、価値の創造を考えたとき、とてもわかりやすい。誰でもできるところがいい。
 

 まずは茄子焼きだ。蔕の取り方にも個性がある。蔕の裾でザックリと切ってしまうか、蔕を捲って色白の秘部を露わにしてから切るか。茄子は男根のイメージだが、後者だと女性的になる。つまり現実的になる。自身の想像は非現実的なくせに、だ!
 そうして蔕を取った茄子を縦半分に切り、もう一度半分に切る。要は縦に四等分だが、厚さは揃えたし。できれば質量も。きゃつらはめちゃくちゃ油を吸いやがるので、フライパンをしっかり温め、多めの油をひいて、きゃつらを投入し、中火で焼く。
 おっとその前に生姜を摺り下ろしておくべし。チューブじゃだめだ、塊を摺り下ろせ! 面倒臭いから価値がある。生姜・大蒜・葱は冷蔵庫に常備されたし。持て余した分の使い道は追々話していく。
 次いで小葱を小口切りにする。写真のは繋がってるが、まあいいじゃないか。包丁が切れないんだよ。ここでマメ知識。ヘンケルスには廉価と二種類あるぞ! 
 長葱じゃあだめだ。絶対にだめだ。こねぎとかあさつきとかばんのうねぎとかいうヤツがいい。ストローみたいな葱がいい。それを大量に小口切りにする。
 さあ茄子が焼けたらフライパンに醤油を廻し入れよう。量は適宜、適当、好きなだけ。皿に盛って葱を散らし、天辺におろし生姜を添えて、喰らいつく。油の染みた茄子に、生姜をちびっと包み込んで口に放り込めば、もう言葉は出ない――ジュンジュワー! 美味しいという言葉すら出ない。言葉は空気に触れたとたん嘘になるのだから。
 
 では解散、葱のように散れっ!